二つの『日本のいちばん長い日』

2015年に公開された邦画『日本のいちばん長い日』は、半藤一利によるノンフィクションを原田眞人監督が映画化したものです。同じ原作を映画化したものに、1967年に公開された岡本喜八監督による名作があります。太平洋戦争末期、敗色が濃くなっていた日本は、降伏か本土決戦かで意見が割れていました。しかしアメリカ軍による広島・長崎への原爆投下により、ついに閣僚たちは天皇の聖断のもと降伏を受け入れることを決定します。しかし降伏に反対する陸軍の青年将校たちは、クーデターを計画するのでした。8月15日、天皇の玉音放送がラジオに流れるまでの緊迫の状況を追ったものです。陸軍将校たちの熱い思いを背負いながら、天皇の身を案じて苦悩し平和的解決を模索する陸軍大臣・阿南惟幾を、役所公司が熱演しています。阿南役は、岡本喜八版ではあの三船敏郎が演じました。他にも戦争終結を断固求める昭和天皇役には本木雅弘、鈴木貫太郎首相役に山崎努、青年将校役に松坂桃季が出演しています。岡本喜八版との最大の違いは、岡本版が終戦直後の1日を追ったものであるのに対し、原田版は降伏決定までの約4ヵ月を丁寧に描写している点です。岡本版ではほとんど登場しなかった昭和天皇をクローズアップし、天皇と阿南、そして鈴木との絆をドラマに盛りこんだところも大きな違いです。役者陣の熱演もあり映画は大ヒットし、日本アカデミー賞、ブルーリボン賞など数々の賞を受賞、高い評価を受けました。

名優のDNAを受け継ぐ男

現代の邦画を代表する俳優そして名優と言えば役所広司です。なにしろ、いきなりの大河ドラマ「織田信長」役で注目を集め「あれは、誰だ!」と私は思...  詳細 ⇒